【この記事を書いた人】
CLASSIX株式会社 営業/終活アドバイザー
墓じまいの流れ、費用、後悔しないための注意点などを解説します
墓じまいとは、今まで利用していたお墓を処分して利用権を墓地に返すことです。
供養する縁者がいない「無縁仏」の問題から将来のお墓の管理に不安を持ち、墓じまいを考える方が増えているようです。
近頃は終活の一環としても注目されており、墓じまいという言葉が一般的なものになりつつありますが、実際の流れや注意点が曖昧な方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、以下の4点をご紹介します。
- 墓じまいの手続きの流れ
- 墓じまいに必要な費用
- 墓じまいの代行業者について
- 墓じまいで後悔しないための注意点
今回の記事の順に進めることで、スムーズな墓じまいが可能です。
墓じまいを考えている方の助けになれば幸いです。
墓じまいの手続きは8ステップ
墓じまいの手続きは8つのステップに分けることができます。
1つずつのステップを丁寧にこなすことで、ご家族の満足できる墓じまいができるでしょう。
①家族や親戚と相談し墓じまいへの理解を得る
最初にすることは、家族や親戚への相談です。
相談するべき内容は「墓じまいをしたい理由」「墓じまいの内容」「遺骨の新しい埋葬先」「墓じまいにかかる費用」などがあります。
本家のお墓など多くの遺骨が納められているお墓では、相談するべき親戚もかなり多くなるかもしれません。
墓じまいの内容が具体的に伝わるよう、イメージに近いお墓や墓じまい業者の資料を用意して説明するのもおすすめです。
②今お世話になっているお寺に墓じまいの希望を伝える
家族や親戚の同意が得られたら、今お世話になっているお寺や霊園に墓じまいの希望を伝えましょう。
檀家として登録されていた場合は、檀家を離れるための「離檀料」もお寺と相談する必要があります。
遺骨を取り出すには、今の墓地から「埋葬証明書」という書類を取得する必要があるため、お寺ともしっかりと話し合いましょう。
お寺には、今までの感謝の気持ちを伝えることも忘れないでくださいね。
③遺骨の新たな埋葬先を決める
墓じまいでは、遺骨の新たな埋葬先を探す必要があります。
今回は、5種類の埋葬方法をご紹介します。
① 新しいお墓を建立する
1つ目の方法は、新しいお墓を建立する方法です。
結果的には、今までのお墓を自宅の近くに引越しさせる形とも言えますね。
新しいお墓を建立する手順は以下の通りです。
①気になる墓地の資料や情報を集める
②実際に墓地に足を運び、希望の墓地と契約を結ぶ
③購入する墓石を石材店と相談し、デザインを決定する
④決定した墓石を製作してもらう
費用は選んだ墓地、墓石の価格によりますが、80万円〜250万円ほどが多いようです。
墓石の製作期間は1〜3ヶ月ほどかかるため、墓じまいのスケジュールに墓石の製作期間を忘れずに組み込むようにしましょう。
② 樹木葬にする
2つ目の方法は樹木葬で、墓石の代わりに樹木や草花を植えて供養する方法です。
樹木葬のお墓の契約手順は以下の通りです。
①樹木葬が可能な墓地の資料や情報を集める
②実際に墓地に足を運び、希望の墓地と契約を結ぶ
③墓地の利用料などを支払う
樹木葬は、自分で墓石を購入する必要がないのが特徴です。
埋葬方法も、個別埋葬、期限付き個別埋葬、永代供養など墓地によって異なります。
費用は埋葬方法や墓地によって異なり、20〜80万円ほどが多いようです。
樹木葬のシンボルとなる植物も、大樹の下にシンプルに埋葬される、花を多く使用する、樹木がメインだが石碑に埋葬者の名前が刻まれるなど、墓地によって様々です。
埋葬方法やどんな樹木のもとに埋葬されるかなどを、しっかりと確認してから契約しましょう。
③散骨する
3つ目の方法は散骨で、見た目で遺骨と分からない細かさまで砕いた遺骨を海や山に撒く方法です。
散骨の契約手順は以下の通りです。
①希望する散骨方法が可能な散骨業者を探す
②散骨業者と契約を結ぶ
散骨業者は、海への散骨が得意な業者、山への散骨も対応できる業者などさまざまです。
希望の散骨が実現できるかを、必ず契約時に確認しましょう。
また、散骨は遺骨を「埋葬」しないため、他の埋葬方法と少し行政手続きが異なります。
書類手続きに関しても、契約時に散骨業者に相談することをおすすめします。
④納骨堂に納骨する
4つ目の方法は、納骨堂という室内の納骨スペースに骨壺を納める方法です。
室内版のお墓と考えるとイメージしやすいでしょうか。
納骨堂の契約手順は以下の通りです。
①納骨堂に関する資料や情報を集める
②納骨堂に足を運んで見学し、希望の納骨堂と契約する
③納骨堂の利用料などを支払う
納骨堂への納骨も、樹木葬と同様に個別の納骨、期限付きの個別納骨、永代供養などの方法があります。
また、納骨堂での遺骨の保管方法もロッカー型、仏壇型、可動型など施設によって様々です。
室内でお参りがしやすいことが納骨堂の大きな魅力なので、立地や納骨プランなどをよく考えて契約するとよいですね。
⑤永代供養する
5つ目の方法の永代供養は、遺骨や法要、お墓の管理など全ての供養を墓地にお願いする方法です。
遺骨の供養は墓地が責任を持って行うため、無縁仏になる恐れがないのが大きな特徴です。
近年は家族単位での永代供養、個別埋葬での永代供養ができる墓地も登場しています。
永代供養の契約手順は以下の通りです。
①永代供養ができる墓地の資料や情報を集める
②実際に足を運んで見学し、希望の永代供養墓と契約する
③永代供養料を支払う
毎日の読経や季節ごとの合同供養の回数などが、墓地によって異なる場合があります。
ご家族の満足する供養がされるかを、充分に確認してから契約すると良いですね。
④今のお墓を撤去する業者を決める
遺骨の移転先が決定したら、今のお墓の撤去を具体的に検討しましょう。
墓石は地震などで倒れないようにしっかりと土に埋められているため、墓石の撤去は石材店に依頼する必要があります。
お墓の撤去費用は面積当たりで決まることが多いですが、お墓の立地や足場状況によっては工事料金が割増になることもあります。
見積もりをとり、不明点は確認してから契約を結びましょう。
⑤必要な書類を取得し、行政手続きをする
遺骨の取り出しには自治体発行の「改葬許可証」が必要なため、取得に必要な書類を手配しましょう。
遺骨の取り出しに必要な書類手続きは以下の通りです。
①今のお墓から埋葬証明書を取得する
②新たな埋葬先から受入証明書を取得する
③今までのお墓がある自治体から改葬許可証を取得する
埋葬証明書や受入証明書は、墓地への相談時に先に話をしておくとスムーズに取得しやすいです。
今までのお墓と新しいお墓の両方で証明書が必要なため、遠方にお住まいの方は負担も大きいと思います。
できるだけ足を運ぶ回数を減らせるよう、しっかり事前準備を行えるとよいですね。
⑥閉眼供養を行い、遺骨を取り出す
改葬許可証を取得したら、遺骨の取り出しが可能になります。
お寺と日程の調整を行い、お寺を閉じる供養である「閉眼供養」を執り行いましょう。
閉眼供養をしなくても遺骨の取り出しは可能ですが、供養の気持ちとして執り行うことが一般的です。
また、閉眼供養の際は3万円~15万円ほどのお布施を包むことが多いです。
地域やご家庭による差もあるため、金額はお寺に確認してもよいでしょう。
⑦墓石の撤去作業をしてもらう
依頼した石材店が、墓石の撤去作業を行います。
石材店が重機や手作業で墓石を撤去し、何もない更地に戻していきます。
撤去作業は石材店が責任をもって行うため、現地の立ち合いの必要はない事が多いようです。
⑧新たな埋葬先に遺骨を納める
最後は、新たな埋葬先に遺骨を埋葬します。
選んだ墓地や埋葬方法によって詳細は異なりますが、手厚い供養を行いましょう。
骨壺を自分で持ち運んで異動させる場合は、割れ物なので取り扱いに注意が必要です。
飛行機で持ち運ぶ場合は、航空会社に搭乗時の骨壺の扱いを確認すると安心です。
これら8ステップで墓じまいは完了となります。
墓じまいの細かい方法は、遺骨の新たな埋葬先によって異なることが見えてきたのではないでしょうか。
また、墓じまいの費用が気になる方もいらっしゃると思います。
ここからは、墓じまい手続きに必要な費用を説明していきます。
墓じまいの手続きに必要な費用
墓じまいにかかる費用は、お寺との関係やご家族の考え方によって異なります。
墓じまいの費用の内訳
墓じまいの費用の内訳は、以下の4種類です。
- 墓石の撤去費
- 今までのお寺に支払う費用
- 遺骨の新たな埋葬先に支払う費用
- 書類の発行手数料
お墓が遠方の方は、移動交通費も考える必要があります。
墓じまいにかかる総額の費用は、30~300万ほどが多いと言われています。
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費用の差が一番出るのは、遺骨の新たな埋葬先にどこを選ぶかです。
先ほど説明した中では「従来のお墓を新たに作る」方法が一番高額になりやすいです。
墓地によって納骨方法やサービスが異なるため、良く調べて決定しましょう。
墓じまいの費用が高額で支払えない場合の対処法
墓じまいの費用が思っていたよりも高額になり、支払いが難しくなる方もいらっしゃいます。
その場合、以下の4つの方法の検討をおすすめします。
①自治体の補助金を確認する
②親族間で費用負担を話し合う
③遺骨の埋葬方法を再検討する
④メモリアルローンを検討する
墓じまいは、古くからの慣例に習って長男や長女が行うことが多いようです。
しかし、法律でお墓の管理者が長男や長女と決められているわけではありません。
親族間で費用負担や埋葬方法をもう一度話し合うことで、今後の供養に関するお互いの理解が深まることもあると思います。
自治体の補助金があればぜひ利用して、無理のない墓じまいをしたいですね。
費用は問題なくとも時間がなく、墓じまいに手間をかけられない方もいらっしゃると思います。
現在は墓じまいの代行を行う業者があり、利用する方も増えています。
墓じまいは代行業者に頼む事も可能
お墓が遠方で手続きに行くのが難しい方を中心に、墓じまいの代行業者を頼む方も増えています。
業者によって代行できる業務は異なりますが、代表的な内容をご紹介します。
代行業者が行える内容
墓じまい代行業者の業務は、以下の4つです。
- 墓地や霊園の管理者との交渉
- 遺骨取り出しの行政手続き
- 墓石の解体や撤去
- 遺骨の取り出しや移動、一時預かり
全てを頼む必要はなく、頼みたい業務だけを選んで依頼する事も可能です。
自治体の窓口が空いている時間に行くのが難しいと、行政手続きだけを依頼する方も多いようです。
業者によって頼める業務やプラン内容が異なるため、よく確認してから申し込みましょう。
代行業者に依頼する場合の費用目安
墓石の撤去や解体なども頼む場合、見積もりを取ることが大切です。
お墓の広さ、重機が搬入できるかに関わるお墓の前の道の広さ、お墓までの階段の有無、駐車場からお墓までの距離、遺骨が何柱納められているかで費用が変わることが多いです。
<代行業者に依頼する場合の費用目安>
墓じまいのすべてを代行 約18万~30万円
自治体への手続きを代行 約3万円~
遺骨の取り出しから納骨の代行 約7万円~
遺骨の移動代行 約2万円+交通費などの実費
一時預かりの代行 約1万円
墓石の解体や撤去代行 約6万~30万円
代行業者はしっかりとお寺と協力して墓じまいを進めていきますが、供養をどの程度行うかは業者によるところもあるようです。
ご家族がどのような墓じまいを望むかを話し合い、安心して任せられる代行業者を選びましょう。
墓じまいをしたことで、後悔したという方も中にはいらっしゃいます。
後悔のない墓じまいが行えるよう、注意点も確認しておきましょう。
墓じまいで後悔しない為の注意点
墓じまいで注意したい点は6つあります。
ここから墓じまいの注意点を1つずつ解説していきます。
①親族とは充分に話し合って同意を得る
親族とは充分に話し合い、同意を得てから墓じまいを進めましょう。
特に高齢者は、若い方とお墓に関する認識が異なることもあるため、注意が必要です。
現在お墓の近くに住んでいる方は、墓じまいで遺骨を移すとお墓参りに行きづらくなるでしょう。
墓じまいの前にお墓参りをしていただく、今後もお墓参りの機会を設けるなどの配慮が必要かもしれません。
墓じまいに親族全員の合意は必要ありませんが、出来る限り円満に墓じまいが進められるようにしたいものですね。
話し合いが不十分なまま手続きを進めてしまい、墓じまいを進める直前にキャンセルする方もいらっしゃいます。
もし墓じまいの同意が得られない場合、今後の管理が難しい、お墓の後継者問題など具体的な理由を告げて話し合いをするとよいでしょう。
②時間や体力に余裕がある時に墓じまいをする
時間や体力に余裕がある時に、墓じまいをすることをおすすめします。
自分で墓じまいの手配をする場合は、石材店やお寺、新しい墓地との調整が必要となります。
新しい墓地と今までの墓地両方に行く必要があるため、時間や手間がかかることでしょう。
墓じまいの検討から終了までの期間は半年から1年ほどが多いですが、話し合いが難航したり墓地選びが進まない場合は2年、3年かかることもあります。
先ほど説明した墓じまいの代行業者もありますが、親族との話し合いは必要なことが多いです。
スムーズに行かない可能性も考えて、墓じまいは余裕がある時にすることをおすすめします。
③見積もりを必ず確認する
墓石の撤去業者や新たに埋葬する墓地などは何か所か検討し、見積もりを取ることが大切です。
墓地が石材店を指定する場合は複数の見積もりが難しいですが、費用面での不信感を残さないためにも、気になる点は確認しておきましょう。
④墓じまいの供養は充分に行う
墓じまいに関する供養は充分に行いましょう。
墓じまいの際は気にならないかもしれませんが、供養が不十分だと何年後かに後悔する可能性があります。
墓じまいをしたら、元のお墓には戻れません。
お墓への感謝を込めて、供養はしっかりと行うことをおすすめします。
⑤お墓の継承者ともよく話し合う
次世代のお墓の継承者がいる場合は、その方ともよく話し合うことが大切です。
墓じまいを考えた方にとってベストなタイミングが、お子さんにとってはベストで無い可能性もあります。
また、現在納骨されている遺骨を永代供養にする場合、存命の方のお墓をどうするかも考える必要がありますね。
墓じまいは、長い目で見て考えるようにしましょう。
⑥遺骨の埋葬先はよく考えて選ぶ
故人が安らかに眠れ、ご家族にとって一番良い埋葬先を選ぶことがとても大切です。
遺骨の埋葬先はさまざまな種類があり、かかる費用も異なります。
個人の墓標が無いと大きな喪失感を感じる方もいるため、遺骨の埋葬先や埋葬方法はよく考えることをおすすめします。
「将来の管理に不安があるけれど、個別に埋葬したい」という方は、永代供養付きの納骨堂や、樹木葬などを選ぶのも良いかもしれませんね。
近年は、永代供養のついた納骨堂への埋葬を選ぶ方が増えています。
「お寺でまるっとお葬式」なら、事情により法要が難しい方、高齢・体が不自由などで法要ができない方、どなたでも安心して大切な方を供養いただけます。
「お寺でまるっとお葬式」はお寺で丁寧に永代供養いたします
最近は亡くなった方の遺骨をお寺に納骨し、法要をオンラインで行えるサービスも登場しています。「お寺でまるっとお葬式」は、お寺の手厚いサポートを受けられるので、安心して大切な方の供養を任せられます。
お寺でお葬式
直葬で火葬した後、お寺の本堂でお葬式を執り行います。
自宅からオンライン参加も可能です。
離れた場所でも、スマホなどのデバイス15台まで同時に参列できます。
お寺でお墓(納骨)
お葬式をおこなった寺院の納骨施設で、丁寧に永代供養させていただきます。
3年・7年・13年プランにより、個別にご供養させていただきます。
年12回法要
月命日・お彼岸・お盆など、毎月お寺から合同法要の様子がオンラインで配信されます。
お寺にお参りに行くことも可能です。
世界から法事
四十九日・一周忌・三回忌なども、オンラインでおこなうことができます。
海外にも配信されるので、離れたご家族様などにも喜ばれます。
まとめ
墓じまいでは、親族やお寺との話し合いから実際の納骨まで、必要なステップがいくつもあります。
1つ1つのステップを丁寧に行うことで、後悔のない墓じまいをすることが可能です。
お墓は精神的な支えでもあるため、供養が足りなかったことで後悔する方もいらっしゃいます。
充分な供養を行い、よい墓じまいができることを心より願っております。