【この記事を書いた人】
CLASSIX株式会社 営業/終活アドバイザー
墓じまいの費用について|費用相場、費用の内訳、誰が払うのか、よくあるトラブルについても解説します
家族構成や生活スタイルの変化によって、昔からのお墓の管理が難しくなることが増えています。
「墓じまい」という言葉は知っていても、「墓じまい」の費用に関することはご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、墓じまいの費用について、以下の4点を中心にご紹介します。
・墓じまいが必要な理由
・墓じまいにかかる費用
・墓じまいの費用は誰が支払うか
・墓じまいの費用で注意したいトラブル
いつかは必要になるお墓の管理について、一緒に考えてみましょう。
墓じまいについて
墓じまいとは、今まで利用していたお墓を撤去し、利用権を墓地に返すことです。
墓じまいの大まかな流れは以下の通りです。
①親族や寺院などへ墓じまいの相談をする
②遺骨の新しい埋葬先を決定する
③必要な書類を揃える
④お墓から遺骨を取り出す法要をする(閉眼供養)
⑤墓石の撤去工事
⑥遺骨を新たに埋葬する
日本では、墓地埋葬法により「遺骨を埋葬できるのは墓地のみ」と定められています。
そのため、墓じまいでは遺骨の埋葬場所が新たに必要になることに注意しましょう。
墓じまいをしないとどうなるのか?
墓じまいをしないと、お墓の継承者(墓守とも言われますね)がいなくなった時に、お墓が「無縁仏」になります。
「無縁仏」とは言葉の通り、供養をする縁者がいない故人やお墓のことです。
一般的なお墓は、最初の費用を支払った後も、墓地の維持に必要な管理料が毎年必要となります。
管理料の未納が続くと「無縁仏」と見なされ、遺骨を合祀したのちに墓石が撤去されることもあるのです。
実際にお墓を撤去するかは墓地の判断次第ですが、管理料が3年間支払われないと無縁仏とみなされる墓地もあるようです。
将来のお墓の管理に不安があるなら、家族のお墓を無縁仏にしないために、墓じまいについて考えてみましょう。
次からは、墓じまいにかかる費用の相場について説明いたします。
墓じまいにかかる4つの費用
墓じまいにかかる費用はご家庭によってさまざまですが、総額で30~300万円ほどが多いようです。
お墓への考え方はお住まいの地域やご家庭による差が大きいため、費用に大きな幅があるのが特徴です。
墓じまいには、大きく分けて「墓石の撤去費用」「今までお世話になったお寺に支払う費用」「遺骨の移転先に支払う費用」「書類の手数料」の4つが必要となります。
①墓石の撤去費用
1つ目の費用は、石材店に支払う墓石の撤去費用です。
面積で料金を設定する石材店が多いため、お墓の広さによって料金が決まることが多いです。
1平方メートルあたり10~15万円程度が相場と言われますが、足場が悪くて重機が入れず、手作業が多い場合などは工事料金が割増になることもあります。
遺骨の取り出しは、1柱あたり3~5万円の別料金になることが多いです。
②今までお世話になったお寺に支払う費用
2つ目の費用は、今までお世話になったお寺に支払う費用です。
墓じまいの際は、今まで法要や墓地の管理を行っていたお寺にも費用を支払うことが一般的です。
墓じまいの法要である「閉眼供養」を行う場合は閉眼供養代、今まで檀家として登録されていた場合は「離檀料」を納める方もいらっしゃいます。
3~20万円が相場と言われますが、不安な場合は墓じまいの相談をした時にお寺に確認しても大丈夫です。
この場合の費用はお寺への御礼の気持ちを包んでいるため、不祝儀袋ではなく白封筒でお渡しするのがよいでしょう。
③遺骨の移転先に支払う費用
3つ目は、遺骨を新たに埋葬する墓地の費用です。
どのようなお墓を選ぶかで、費用が大きく異なります。
①新たにお墓を購入し、お墓を建立する場合
今までと同じ形式のお墓を新しく建てる場合、墓地の初期費用、管理費、墓石の購入費用、納骨時の法要である「開眼供養」の費用などが必要になります。
費用は購入する墓石や選ぶ墓地によって異なりますが、80万円〜250万円ほどが相場と言われています。
供養の方法は変えずに、自宅の近くにお墓を移したい方に選ばれることが多いようです。
②納骨堂に埋葬する場合
納骨堂への埋葬とは、屋外に設置されるお墓とは異なり、墓地が用意した室内の納骨スペースである「納骨堂」に骨壺を納める方法です。
建物内でお参りがしやすく、墓石の管理が必要ないため、近年選ぶ人が増えています。
費用はお墓の建立よりは少額で済むことが多く、10万~200万ほどが相場と言われています。
また、納骨堂内での遺骨の保管方法はロッカー型、仏壇型、可動型など、施設によって様々です。
最初から永代供養するプラン、何年かの個別供養の後に合葬されるプランなどがあるため、ご家族が希望する供養方法を選ぶとよいでしょう。
③樹木葬で埋葬する場合
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木などの植物を植えて供養する方法です。
樹木の下にシンプルに埋葬される、プレートに埋葬者の名前が刻まれるなど、お墓の形態は墓地によって異なります。
樹木葬にかかる費用は、墓地や選ぶプランによって異なりますが、20~80万円ほどが相場のようです。
樹木葬の埋葬方法は次の3種類に分けられます。
・最初から合葬される
・最初は個別埋葬し、規定の期間が終了すると合葬される
・ずっと個別埋葬される
樹木葬の埋葬は墓地によって選べるプランが異なるため、よく確認して申し込みましょう。
④永代供養を依頼する場合
永代供養とは、墓地に今後の遺骨の管理や供養を全てお願いする方法です。
永代供養は個別埋葬か合葬かで費用が異なり、個別埋葬は20~150万円、合葬は5万円~30万円ほどが相場となります。
樹木葬と同じく、期間が定められた個別埋葬と無期限の個別埋葬では費用が異なります。
永代供養では最初に全ての料金を支払い、その後の費用は不要なことが一般的ですが、個別埋葬では管理料がかかる墓地も一部あるようです。
念のため、契約前に確認しておきましょう。
墓地が責任をもって遺骨の管理や供養を行うため、無縁仏になる恐れがないことも永代供養の特徴です。
そのため、お墓の後継者がいない場合は、永代供養での墓じまいを選ぶ方が多いようです。
⑤散骨する場合
散骨とは、見た目で遺骨と分からないサイズまで細かくした遺骨を、山や海へ撒く方法です。
費用の相場は5万円~70万円で、選ぶ散骨場所によって価格が異なります。
トラブルを防ぐために、散骨は人の生活圏と離れた所にするのが一般的です。
海への散骨は船で沖まで行く必要があり、山への散骨は山の所有者に許可を得る必要があります。
個人で散骨の準備をする事は難しいため、専門の業者に依頼することをおすすめします。
④書類の手数料
墓じまいでは「埋葬証明書」「受入証明書」「改葬許可証」の発行手数料も必要となります。
埋葬証明書とは、その場所に遺骨が埋葬されていることを証明する書面で、今まで埋葬していた墓地が発行します。
受入証明書は、遺骨を受け入れることを証明する書面で、新しい埋葬先が発行します。
書類発行の手順は以下の通りです。
①埋葬証明書を今まで埋葬していた墓地から取得する
②受入証明書を新しい埋葬先から取得する
③2種類の書類を今まで埋葬していた墓地の自治体に提出し、改葬許可証を取得する
改葬許可証は遺骨の取り出しに必要なため、必ず取得しましょう。
証明書は遺骨ごとに必要なため、複数人の遺骨が納められている場合は必要枚数を取得します。
埋葬証明書、受入証明書の発行手数料は墓地によって異なるため、墓じまいの相談時に一緒に確認するとスムーズです。
改葬許可証は自治体が発行する書類のため、発行時に規定の手数料を支払いましょう。
ここまで墓じまいにかかる費用について説明いたしました。
では、この墓じまいの費用は誰が支払うことが一般的なのでしょうか。
墓じまいの費用は誰が払うのか
墓じまいの資金に法律上の決まりはないため、費用負担の方法はご家庭ごとに異なります。
費用負担の方法は何種類かありますが、比較的「お墓の継承者が支払う」場合が多いようです。
①お墓の継承者が支払う
一番多いのが、「お墓の継承者が支払う」方法です。
民法897条は、お墓などの祭祀の継承者について「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」「被相続人の指定がある場合は指定された者が承継する」と定めています。
そのため、「お墓の継承者は長男」などと法律で決まっているわけではありません。
しかし、実際は長男か長女がお墓を継承し、墓じまいの費用も負担する事が多いようです。
②兄弟などで協力して支払う
故人のお子さんたちが、兄弟で協力して支払う方法もあります。
核家族化が進み、「家を継ぐ」という考え方も昔と変化してきているため、ご家族でお墓の負担を分け合う方も増えています。
民法の規定に「祭祀の主催者は1人」という規定はないため、ご家族で合意しているならばお墓の負担を分け合うことに問題は無いのです。
ただし、墓地の管理料など、継続して発生する費用負担についても決める必要があることには注意が必要です。
経済状況やお墓への考え方が家族内で異なることもあるため、金銭に関してはよく話し合っておきましょう。
③亡くなる前の故人が支払う
故人が亡くなる前に、自分のお金で墓じまいをしておくという方法もあります。
墓地や墓石などは高価なものですが、祭祀財産に分類されるため相続税の対象外となります。
そのため、先に墓じまいをしておくと、課税対象の相続財産が少なくなり、相続税対策になるというメリットがあるのです。
亡くなってから、家族が故人の遺産で墓じまいをしても相続税対策にはならないので、注意しましょう。
ただし、生前にお墓の話をすることに、人によっては違和感を覚える可能性があります。
「生前墓」という言葉もあり、近年は終活として自分のお墓を先に決める方も増えていますが、考え方は人それぞれです。家族全員の考えを尊重した方法を選べるとよいですね。
ここまではお墓の費用負担について解説いたしました。
次は、墓じまいの費用について、注意したいトラブルをご紹介します。
墓じまいの費用で注意したいトラブル
墓じまいがスムーズに進むことが望ましいですが、残念ながらトラブルに発展するご家族もいらっしゃいます。
代表的なトラブルには、「親族間での意見が合わない」「墓じまいの費用が払えない」などがあります。
①親族間での意見が合わない
墓じまいでお墓を移すことに、お墓に近い所に住んでいる他の家族や親族と意見が合わないことがあります。
費用をかけてお墓を移すことに、理解が得られないこともあるでしょう。
お墓の管理者(例:長男)は地元を離れていて、実際の管理は地元に残っている方(例:それ以外の家族や親戚)が行っている場合などに起こりやすいトラブルです。
また、墓じまいの費用負担について、親族間で意見が合わないことも考えられます。
お墓はただの納骨場所ではなく、お墓参りをすることで故人との思い出を偲ぶ場所でもあります。
どうしても了承が得られない場合、お墓の管理者の一存で墓じまいをすることは可能ですが、お互いに納得できる形を探ることをおすすめします。
②墓じまいの費用が払えない
墓じまいの費用が高額になる場合、支払いが難しい方もいらっしゃるかもしれません。
その際にチェックするべき5つのポイントをご紹介します。
①自治体に補助金制度が無いか確認する
自治体によっては、無縁仏が増えないようにお墓の撤去に補助金を設けていることがあります。
無縁仏の撤去費用など、墓地側の負担を増やさない事が目的のことが多いです。
補助金制度がある自治体は多くありませんが、念のため墓地がある自治体に確認しておきましょう。
②家族や親戚と費用負担について相談する
お墓の管理を行う方が1人で費用負担をする場合、金額が大きくなると支払いが難しくなることがあります。
その場合は、家族や親戚と費用負担を分けられないか相談してみるのも方法です。
最初の話し合い時よりも必要な費用が増えた場合などは、具体的な金額を出してもう一度話し合ってみましょう。
③墓石の撤去などの工事費用の見積もりを取る
自分で墓石の撤去業者を選ぶ場合は、他の業者にも見積もりを依頼しましょう。
しかし、山間地で墓地の足場が悪い、通路が狭くて重機が入れないなどの理由で墓石の撤去費用が高額になることもあります。
業者によって価格設定の方法が異なるため、見積りで不明な点はしっかりと質問することをおすすめします。
④メモリアルローンを検討する
資金面の折り合いが付かない場合、お墓や葬儀のためのメモリアルローンを利用することも可能です。
石材店や墓地でメモリアルローンを取り扱っている場合もあるので、取り扱いがあるか相談するのも良いかもしれませんね。
⑤移転先の墓地を再検討する
移転先の墓地を再検討する方法もあります。
払える金額の墓地に変更したり、同じ墓地でも埋葬方法を変更することで費用負担を抑えることが可能です。
個別供養よりも合葬の永代供養を選ぶと費用が抑えられることも多いです。
墓地によって用意されている埋葬方法が異なるため、確認してみるとよいでしょう。
近年は、墓じまいを考える時に、納骨堂での永代供養を選ぶ方も増えています。
「お寺でまるっとお葬式」なら、事情により法要が難しい方、高齢・体が不自由などで法要ができない方、どなたでも安心して大切な方を供養いただけます。
「お寺でまるっとお葬式」ならお寺の納骨堂で丁寧に永代供養いたします
最近は亡くなった方の遺骨をお寺に納骨し、法要をオンラインで行えるサービスも登場しています。「お寺でまるっとお葬式」は、お寺の手厚いサポートを受けられるので、安心して大切な方の供養を任せられます。
お寺でお墓(納骨)
お葬式をおこなった寺院の納骨施設で、丁寧に永代供養させていただきます。
3年・7年・13年プランにより、個別にご供養させていただきます。
年12回法要
月命日・お彼岸・お盆など、毎月お寺から合同法要の様子がオンラインで配信されます。
お寺にお参りに行くことも可能です。
世界から法事
四十九日・一周忌・三回忌なども、オンラインでおこなうことができます。
海外にも配信されるので、離れたご家族様などにも喜ばれます。
まとめ
墓じまいとは、お墓を無縁仏にしないために管理のしやすい所にお墓を移転させることです。
墓じまいの費用は、移転先に選ぶ墓地や埋葬方法によって大きな違いがあるため、良く調べることをおすすめします。
金銭的なトラブルを生む事もあるため、家族や親戚でよく話し合い、無理の無い納得できる方法を選べると良いですね。